美波の養父である兼松裕一を演じるフックンこと布川敏和さんの手話ですが、ぎくしゃくした動きであるにも関わらず、演技とは思えないほど丁寧な動きをしておられましたね。
今日のストーリーでは亡き娘のアルバムを見た美波が家を飛び出して、連れ戻された所から美波が「かわいそう」と思われて誤解してしまった事に布川敏和さん演じる兼松裕一が養女となる美波との関係で誤解が生じた事から、懸命に練習した手話で美波に語りかけます。
「亡くなった娘の変わりにしようとかは考えていない」
「美波ちゃんは美波ちゃんだだ。」
「おじちゃんと一緒に、ここで暮らして欲しい」
手話と表情で行われるのですが、手話がそれほどできない私でもわかりやすいものでした。
舞台となる小豆島のマルキン醤油工場が出てきたり、これは私も愛用しているのですが、相当古くからあるんですね。
今は子供同士の話ですが、ここで誰もが不思議に思うこと。
「なぜ美波は声を出さないの?」
詳しい方をのぞいては思うかもしれませんね。
今回はこれについて書きましょう。
平たく言えば、自分の声が聞こえないからです。
出せない事はないのですが、自分の声が聞こえないから何を発音しているのか感覚的に把握できません。
ところが、「聞こえない」と言う方でも発音している方もいらっしゃいます。
確かにそういう方もいらっしゃいます。
おそらく、言語を取得してから聴力を失った、中途失聴・難聴者の方には発音が明瞭な方も多くいらっしゃいます。
耳が聞こえないからといって声を出せないとはいえないのも事実ですが、聴力を失った時期、残存聴力など、個人差も大きく変わってきますので、一概に「発音できる」「できない」とは言えないのが現状です。
なぜ、そうなるのか、私なりに調べてみた所、発音時に自分の声を無意識の内に聞いて、脳内でフィードバックして声を調整していいく機能が備わっているのではないかと言われている事がわかりました。
しかし、成人してから聴力を失った人の発音は長期間にわたって明瞭な人が多く、なぜそうなるのかはわからず、長い間の謎でした。
この話に対する1つの手がかりが2008年9月に発表されていました。
「聴覚がなくても正しい発音が可能な秘密は?」
(一部引用)
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この実験の目的は、自分の発する声が全く聞こえない状態で言葉を発する際に、発声器官に起きた予期しない変化に対応できるかどうか調べることだ。
これらの単語に含まれる二重母音やサ行の摩擦音をはっきりと聞き取れるように発音するには、あごの位置を精密にコントロールしなければならない。下あごの前への移動はごくわずかなものだったが、口から発する音声にははっきりとした影響が出た。
しかし、300回くり返し発音するうちに、被験者たちは、自分の声が聞こえないにもかかわらず、正しい発音になるよう修正していった。また、研究グループが同年代の健常者についても同様の実験を行ったところ、正しい発音になるよう修正するスピードは聴覚障害者のグループとほとんど変わらなかったという。
オストリー氏とナジール氏は、発音の驚異的な適応能力の秘密は、発声器官にある機械的受容器(メカノレセプター)が、正しい発音をしたときの感覚を覚えているからだと考えている。
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この対象は中途失聴者で人工内耳を使っている方を対象にして行われています。あくまでも調査結果による憶測、まだヒントの段階でしかありませんが、よく調べているなと思います。
聴覚言語訓練の分野に詳しい方もいらっしゃると思いますが、聴覚障害児が発音を取得していく場合は発音訓練で何度も口の形を真似させたり、きなこをなめさせたりと舌の動きをきちんとしていくなど、発音訓練が行われています。
そういう事を知らないががために聴覚障害児が言語を取得するのは問題はないと思われる場合もありますが、言語を取得する前に聴力を失った場合の言語取得は非常に困難です。
私の場合は両親が猛特訓をしてくれたおかげで、1対1や日常会話は普通にできるようになりましたが、それでもカとかサの発音が不明瞭な場合もあります。
私が幼い頃に母親が一対一でしてくれた発音訓練は「300回くり返し発音する」行為を地でいくようなものです。いえ、1000回以上は行っているのは間違いありません。自分の意思表示もできない子供に行うわけですから、辛くないはずはありません。
何度も繰り返し練習していくということですが、両親には感謝していますが、当時の練習は長時間ずっとつきっきりで練習していましたから、本当に時間もかかります。
ただ、これが100%かというとそれはありません。
私も一時期、発音で100%を追求していこうとした事があったのですが、あまりにも辛くなり、反発した結果、家族の関係がぎくしゃくしてしまった期間がありました。
補聴器を使う事で残存聴力がある程度活用できるなら、発音も明瞭になるかもしれませんが、自分の声も認識できない程度の聴力になると、補聴器を使っていても、どうしても発音が明瞭でなくなる場合もあります。
自分の発音が不明瞭である事に悩み、補聴器を使うのを止めて手話にアイデンティを見いだす人もいらっしゃいます。
「ラブレター」の話に戻りましょう。
「なぜ美波は声を出さないの?」という質問には現時点でのストーリー上の憶測ですが、美波は聴力レベルが補聴器が使えない聴覚障害児という設定ではないかと思います。
少し、参考になったでしょうか?
まだまだ続きが楽しみですね。
追伸
子供同士とはいえ、筆談をしてコミュニケーションをとるという設定は今回のドラマが初めてではないかと思います。
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